LINER NOTES

2016.07.16

OFFICIAL LINER NOTES Vol.2

 和島あみは、思春期のための音楽を奏でようとしているのか。

 暗闇の中に差し込んだ一筋の光に手をかざし、朧気な出口に向かって駆け出すようなイントロが、自意識に苛まれた者たちをこの曲の世界へと誘う。

 2016年1月の冬、17歳で掴んだ次世代アニソンシンガーオーディション・グランプリ受賞の栄光は、2016年4月のメジャーデビューに続き、この夏2枚目のシングルをリリースするチャンスを与えてくれた。
 息継ぐ間もなく加速と減速を繰り返し、エモーショナルなギターリフが鳴り響く2ndシングル「永遠ループ」。和島あみのパワフルな歌唱が聴く者の身体を震わせ、同時に掠れるブレスがヒリヒリとした焦燥感を生み出していく。
 低い声へのコンプレックス。休みがちだった学校。一時は見失った夢。様々な逆境を乗り越えプロの世界へと踏み込んだ彼女の声には、まだあの辛かった頃の思い出が生々しく残っており、10代特有の刹那的な雰囲気が漂う。

 デビュー作「幻想ドライブ」では、そんな“自問自答の取調べ室”に閉じこもる者たちにそっと寄り添い、「下ではなく上を向いてはどうだろう」と歌った。一方、今作の「永遠ループ」は“思考回路の交差点”で彷徨う者たちに、「ゴールが見えなくても走るんだよ」と発破をかける。
 和島あみは、舗装された道を安全に進行し、今の地位を獲得した人物ではない。答えのない茫漠たる未来を前に、なんとか己を保ちながら、いつもギリギリの選択肢を心に忍ばせてきた人間だ。闇雲に走った結果、ほんの少しだけ灯りがついた道。今なお迷路の中にいると自覚する彼女の瞳には、自分への期待と不安がないまぜになった光が宿っている。

「(「永遠ループ」は)悩んでいる人に届きやすい曲なのかなと思う。私自身がそうであるように、どうしようどうしよう……と迷っている人は前向きな何かよりもちょっと壊れそうな何かに惹かれてしまうところがある」
「結局、私はそういう人が好き。必ずしも本当にまっすぐキラキラしていなくてもいんじゃないかな」
「だから今回は、前回よりも優しく歌えた。歌詞にはより前向きで厳しくもある表現が多くなっているけど、逆にそういう悩んでいる人たちのことを見守りたいとか見届けたいという気持ちが強まって、歌自体は女の子っぽく、少し柔らかくなったと思う」
「みんな、心の中には出口のない迷いを持っている」

 そして彼女は“アニソンシンガーになる”という自身の夢をもう一度確かめるように、2作目のタイアップ先であるTVアニメ『クロムクロ』に想いを重ねた。

「(ヒロインの)白羽由希奈は、突然舞い込んできたパイロットという責任から逃げ出そうとしてしまう。私は自分でそれを望んでプロの世界に入ったけど、それでも『本当に大丈夫なのかな?』って不安に思うところがまだあって、そこは由希奈にリンクすると思っている」
「彼女はいちどすべてを投げ出しネガティブな行動をしたあとに、ロボットに乗る決意をした。私も『幻想ドライブ』で暗い気持ちをさらけ出すことができたから、『永遠ループ』のような歌がうたえるんだと思う。由希奈と私のふたりで、一緒に成長していく曲にしたい」

 和島あみ、17歳。初めてインタビューした3ヵ月前と印象は変わらない。相変わらず自分のことが好きになれず、でも決して嫌いになることもできない自分探しの旅の途中。だから彼女の歌には、緊張感がある。そして純粋だ。
 まだたった2作品。これから何を見つけ、そしてどう変わっていくのか。我々もまた彼女と一緒に成長していくことを願っている。

TEXT BY 西原史顕(アニメ音楽ライター)

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